2007年04月11日

酔いどれ教養講座

あー、なんてぇか、春ってのは眠いよな。
リアルで妙に気苦労が絶えねぇもんでな(そこ、「ありえねぇ」って顔したヤツ、前へ出ろ)、Inこそするもんの、出航所から動かねぇまま寝オチばっかりだ。

カフンショーおさまったと思ったらこれだ。
全く、世の中ってぇヤツぁ面倒極まりねぇや。

そんなグダグダな昨晩のこった。


いきなりカパさんから電話がかかってきやがったのよ。



知ってるヤツぁ知ってると思うが、カパさんからの電話は用事のある時ゃあかかってこねぇ。

カパさんからの電話は、十中八九、酔ったはずみでかかってくるもんだ。

昨晩の電話も案の定、酔いどれ電話だったんだが、珍しく用事があったらしい。

「あんなー、戦闘で死んで、酒びたしで運ばれた船乗りってダレやったー?」
↑(用事)

聞けばカパさん、近頃の激務にくたびれて、酒に逃げてる真っ最中だったわけよ。
俺とおんなじだな。


で、まぁ、その船乗りについて解答したわけだが、その中でひとつだけ、カパさんにウソ教えちまったんで、ここに補足で説明してお詫びしとく。
今度、一杯おごる。


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●船乗り教養講座 百本腕&アルさんの『よくわかるネルソン提督』



<出演>

briareos.JPG

話者:百本腕・ブリアレオス(以下ブリ)

Ar.JPG

聞き手:ヘルマンリクガメのアルさん(以下アル)



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ブリ:さて、そういうワケで、船乗りの酒漬けについての解説だ。

アル:船長船長、タイトルでいきなりネタバレしてますよ。

ブリ:いいんだよ、話が早くなって面倒がねぇ。

アル:そういうわけですので、皆様ごめんなさい。

ブリ:で、だ。「船乗りの酒漬け」の正体は、大英帝国が誇る英雄ホレイショ・ネルソン提督その人だ。

アル:18世紀末から19世紀の頃のヒトなんですね。本当なら船長が知ってるのはヘンかも。

ブリ:この野郎、理屈っぽく育ちやがったぜ。そこらへんは気にすんな。お話が成立しねぇ。

アル:ハイ、船長。

ブリ:で、このおっさん、実家のビンボーが理由でツテを頼って海軍に入った。平水夫からか候補生からか知らんが、まぁ下っ端から始めたわけだ。

アル:考証しないんですか?

ブリ:面倒くせぇからやらねぇ。そういうのは知りてぇと思ったヤツが手前ぇで調べるもんだ。手前ぇで調べた事ぁ忘れず身につくって言うだろ。

アル:エー…。

ブリ:(黙殺)で、トントン拍子に海尉→海尉艦長→勅任艦長と出世する。

アル:エリートコースまっしぐらですね。

ブリ:向いてたんだろな、軍人ってぇか海軍が。このおっさん、ファイトスタイルがとにかく突進型でな。

アル:燃える闘魂?

ブリ:そんなとこだ。多分そのせいで、ナマキズが絶えねぇ。右目は失明しちまったし、右腕もケガして切断だ。

アル:左舷じゃなくて右舷の弾幕が薄かったんですか?

ブリ:いやぁ、どうもその後も懲りずに似たような戦い方してるからなぁ。戦列の後ろに居たのに、上官命令無視して突っ込む(1796年 サン・ヴィセンテ岬沖海戦)とか、敵戦列のド真ん中横切って分断しちまう(1798年 ナイルの海戦)とかな。こいつぁもう根っからの脳筋だったとしか思えねぇよ、それも特級の。

アル:ネルソン提督みたいなヒトが上司だと苦労しそう。

ブリ:下で働いて生き残りゃ、栄達は間違いねぇだろうけどな。

アル:望遠鏡のお話は有名ですね。

ブリ:おぅ。1801年のコペンハーゲンな。司令官が「戦闘中止」って信号旗上げてんのを、失明してる右目に望遠鏡あてて見て黙殺しちまったってヤツだ。多少誇張はされてんだろが、どのエピソードみてもこんなんばっかりだもんな。

アル:さて、いよいよ運命のトラファルガーですが。

ブリ:いまや子爵様で海軍中将閣下にまでなったネルソンだ。司令官としてH.M.S.ヴィクトリーに座乗して、フランス・スペイン連合艦隊をブチのめすべく海上決戦に及んだわけだな。1805年だ。

アル:遠いですね、トラファルガーって。

ブリ:トラファルガル岬の沖合ってぇから、ジブラルタル海峡出てすぐくれぇなトコだな。ほとんどアウェーみてぇなもんだ。

アル:戦法は例によって…。

ブリ:もちろん接近戦上等。付き合わされる相手と部下達ゃあ、いい迷惑だよな、実際。で、とにかく味方の艦の損失ゼロに対して、敵は沈1の分捕られ18ってぇ圧倒的大勝利よ。英国海軍は制海権を奪取して、世界の海上覇権のひとつのターニングポイントになった、らしい。

アル:歴史的大勝利ですね。

ブリ:まぁ接近戦がたたって、ネルソン自身は狙撃兵にマスケットかなんかで撃たれて、それがもとで戦死に至っちまうわけだが。おっさん、部下がせっかく「コート着とかんと、大将!勲章とかでバレて撃たれますから!お願いしますわ!」とか言ってくれてんのに、意地張って着ねぇでやんの。

アル:エラいヒトって、どうしてみんな難儀な性格してるんでしょう?

ブリ:さぁな。アク強ぇヤツじゃねぇと埋もれちまうからじゃねぇか?

アル:はぁ。

ブリ:そんなネルソン提督だったが、いまわの際にちょっとどうしようってぇ迷言を残してる。

アル:へぇ…。

ブリ:曰く「Kiss me, Hardy.」(キスしてくれ、ハーディ君)。

アル:ウホッ!

ブリ:どこで覚えやがった、そういうくだらねぇネタ。ハーディ君ってのは、ヴィクトリーの艦長だったトマス・マスタマン・ハーディだ。さすがにこれが辞世の句になっちゃまずいと思ったのか知らんが、その後ネルソンは「Thank God, I have done my duty. 」(神よ感謝します、私は義務を果たした)とつぶやいて逝ったことになってる。

アル:歴史の闇だぁ…。

ブリ:で、まぁトラファルガル岬沖からブリテン島は遠いからな、腐ると色々困るんで、ネルソンの棺はブランデーならぬラム酒で満たされた。ネルソンのラム酒漬け、一丁あがりって寸法よ。

アル:カパさんにはうっかり「ブランデー漬け」とお答えしてしまいました。謹んでお詫びいたします(アルさんが)。

ブリ:さて、ここまでで何か質問あるか?

アル:英国人ってヘンなヒトが多いんですか?

ブリ:そうさな、ヘンと言っちまうのも問題あるかもしれねぇが、功なり名を遂げたヤツに妙にゲイが多かったり、やたらと脱ぐのがスキだったりする傾向はあるかもしれねぇ。

アル:うーん。

ブリ:ゲイでも女装癖でも裸族でも、他人の事にゃあ敢えてツッコまねぇのが、英国伝統の成熟した個人主義ってヤツよ。

アル:エー…。

ブリ:まぁ、英国人と見たら、まずは用心しろってことにしとこうぜ。

アル:船長、英国大使館から苦情来ますよぅ。



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提供:(有)ヘカトンケイル鉄工所
posted by ブリアレオス at 11:30| Comment(3) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「Kiss me, Hardy!!!!!!!」(モンティ・パイソン(笑)。2階から落っこちるネルソン提督は大爆笑やったなw

ちゅーかプリマス飲んで酔っ払って電話しました。またきっと電話します。確かプリマスジンのラベルに英国海軍の軍用帆船の絵が描いてあって、そっから帆船や海賊の話になって(国の借金を海賊が返済したとかいう話)、ほいで「あんな〜」のくだりになったわけやw 堪忍してちょ。

次回は昨日酔っ払ってたときに上手いこと説明できひんかった「フランシス・ドレイク」の話をヨロシク。
Posted by カパちゃん at 2007年04月11日 14:02
あー確か女装はイギリス上流階級では伝統的な「遊び」だったと、物の本で読みましたねぇ。
Posted by アマンダ at 2007年04月11日 18:30
こんにちは、ランゾです。

しかし、本国に着いたときには誰が飲んだか
棺桶のラムはなくなっておりましたとさ、
というオチが付くのも英国海軍らしいですよね。

英雄にあやかってか、みんなで飲んでしまった
ようで…自分は気持ち悪くて飲めませんがね。
やっぱり、英国人は変わってるんでしょうか。
Posted by Ranzo at 2007年04月11日 20:20
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