2006年12月10日

密林の神々

弱々しく差す日の光をうけながら、俺達ゃバカみてぇに茂りまくりやがった枝葉を掻き分けて進んでた。

上陸地点から遥かに踏み込むこと数週間。
インディアスってのは、どこもかしこも森ばっかりだ。
平らに拓けてるとこはほとんどねぇ。
海原に浮かんだ小島みてぇに、深い森ん中に飛び飛びに人の住んでる村がある。
ここいらの連中は代々、そんな森の中に点在してる村で、猫の額ほどの土地を焼き払っては、そこでトウモロコシだのジャガイモだのって珍しい作物を植えて細々と暮らしてた。
コンキスタドーレ共が殺到してくりゃ、こりゃ確かに一網打尽になっちまうのも無理ねぇや。



森ん中の村はどこもバカに新しい。
イスパニアのコンキスタドーレ共が、片っ端から焼き払いやがったのさ。
上手いこと逃げられた連中が戻ってきて、また村を再建したってんだが、そういう事情もあって、正直俺達ヨソ者はえらく肩身が狭ぇ。
他人様の土地へ踏み込もうってぇのに、いまだにコンキスタドーレ気取りでのし歩くバカ共がいやがるせいで、俺達ゃいい迷惑だ。
ヘタに悶着起こしてみろ、薄暗い森のどこから槍だの何だの飛んでくるか分かりゃしねぇ。

俺達を先導してる爺さんの爺さんの代くらいまで、ここらにもドえれぇ国があったという。
ローマ・カトリックの辛気臭ぇ宣教師連中が押し寄せてくるまでは、それこそ悪魔みてぇな神さんがうじゃうじゃ祀られてもいたんだが、今じゃそういう神さん達も、まとめてうっちゃられちまって、面ぁ拝みに行くのも一苦労ってわけよ。

延々ヤブを掻き分けて、アブみてぇにでけぇ蚊にもうんざりした頃、そいつが見えてきた。

村と同じように、打ち捨てられた神殿は、じわじわと密林に呑み込まれつつあった。

戦士像

神殿を守るのは戦士の石像だ。
この地の神々は、人の血を欲する荒々しい神だったって話でな、神への捧げ物ってんで生贄にされるヤツが、毎日毎日、儀式の行われる急勾配のピラミッドを引きずり上げられちゃあ、神官共の手で心臓えぐり出されて、あげくピラミッドの階段を蹴落とされたって話だ。
神に血を捧げねぇと、お日さんが昇ってこねぇって事になってたんだと。
で、どんどん生贄が要るんで、他部族に戦争ふっかけて生贄要員をとっ捕まえるだろ。
そういう屈強な戦士の像なのさ、こいつは。


何?コンビニ?気にすんな。



コヨルシャウキ.JPG

で、祀られてんのはこういう具合な神様だ。
これは月の女神で、「コヨルシャウキ」って神さんだそうだ。
当地の最高神・ウィツィロポチトリの姉貴にあたるが、完全武装で生まれてきたばっかりの弟に、間違ってバラバラにされちまったんだ。
画面上が上向いた頭で、横向きの胴体の周りに手足が卍状に彫られてんだが、それぞれ胴体から切り離されてバラバラになってんのが分かるか?
(よく見ると、腰んとこに生贄を表す頭蓋骨がぶら下がってるよな)
で、まぁバラしちまったもんはしょうがねぇんで、ウィツィロポチトリは、コヨルシャウキの首を天空へ上げたら、それが月になったんだとよ。
所変われば色んなもんの由来も、ずいぶん変われば変わるもんだぜ。


ビル?だから気にすんなって。


カレンダー.JPG

で、さらに驚くべきことに、このインディアスの地には、車輪も弓矢もなかったってぇのに、恐ろしく整った暦があったのさ。
何しろ、太陽が生贄の血でもって昇ってくるってぇ国だからな。
動き具合を読み違えちまうと一大事ってんで、太陽の動きを元にした暦が発達したってわけで、こいつがそれを表した石版、通称「アステカ・カレンダリオ」。


これほどな文明をもったインディアスの連中だったが、イスパニア人がやってくると瞬く間に一掃されちまって、今じゃ揃ってイスパニア人の奴隷同然だ。
密林の中で、みるみる緑に呑まれて朽ちていく神さんを眺めながら、俺ゃあ運命の不可解さを思った。




---------------------------------------------------------------------

と、ここまで書いといてナンだが、これ、実は全部ウソなんだな。

実際の俺ゃあ、実はまだこんな有様。

衝撃の告白.JPG

ま、そのうちにな、そのうち。

(ロケ地:久屋大通公園)
posted by ブリアレオス at 22:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
っていうか久屋大通!?
イタリア村といい案外近くにこういうのあるんだな・・・
重ね重ねサンタマリア号見逃したのが痛い。

んで本編。南米もそうですけど東南アジアも開かれ始めて東は測量地図で台湾やオートラリアが見えてきて、そろそろ日本の夜明けが見えてきています。入港許可もおりやすくなっているので観光がてら諸々の町を巡るのも楽しいですよ。遺跡めぐりなどは
なかなかのものです。
Posted by Rakugo at 2006年12月11日 10:32
旦那、新大陸にも行けてへんもんなw
おいらも東南アジアは年明けっぽいなぁ・・・。
Posted by カパちゃん at 2006年12月14日 16:02
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。