2005年08月31日

Osprey in the North Sea

「よぉーし、右舷砲列いくぞ、気合入れてかかれよ!」

俺は傍らの“ペインター”ジョーに顎をしゃくって合図する。
ジョーは緊張しながら砂時計に手をかけた。
そいつを確認してから、俺は右手をあげて砲列の向こう端に居るスヴェンに合図を送った。

「砲撃開始!」

スヴェンの号令と同時にジョーは砂時計をひっくり返す。
目の前では水夫達が留め金を外されたバネみてぇに一斉に動き出す。
砲口を掃除し、炸薬と砲弾を装填し、砲を押し出す。
向かって奥の船首側から、閃光と轟音が将棋倒しにこちらへ向かってくる。
片舷15門の砲列が跳ねる様に次々後座して、駐退索が無理やりブレーキをかける。

まだ砲口から煙のあがる砲架に、水夫達は次々に取り付いて二斉射目にかかる。
掃除し、装填し、押し出す。
また轟音と閃光の将棋倒しがこっちへ向かって押し寄せる。
目の前の15門目が火を噴くと同時に、俺はまた右手をあげる。
あわててジョーが帳面に記録をとりながら声をあげた。

「1分と42秒です!」

「まだまだ遅ぇ!あと30秒は縮めてみせろ!」
砲列から「おぅ」と返事が返る。
士気は上々、結構なこった。

甲板へ続く昇降口から、バーニィが逆さに顔を突っ込んで言った。

「船長(キャプテン)、命中弾7で標的破砕。至近弾13、残りはハズレだ」

「巡航速度は?」

「6ノット。並だよ。」

「よぉし。スヴェン、総員にメシと配給酒をまわせ。バーニィ、船首を風上へ向けて漂駐」

「Ai Sir!」

バタバタと動き出す砲列甲板を後に、帳面抱えたジョーを連れて俺は上甲板へあがった。
ひょいと出した右手に、ハンスが望遠鏡を渡す。
相変わらずソツのねぇこったな。

標的の小船は粉々になって、煙たなびく波間に残骸をゆらしていた。
集弾率も上がってきて、ますます結構なこったぜ。

補修班のトマとアンリに次の標的の準備を指示してるところへ、ホセが後ろから追いついてきた。

「船長、まだやるんですか?もう3戦分くらい火薬と砲弾使っちまいましたよ?」

「細けぇこと言うなって。キッチリ腕あげるから、後の稼ぎへつながるんじゃねぇか」

「単に船長が砲撃好きなだけだと思いやすがねぇ。やりくりするこっちの身にもなってくだせぇよ」
束になった書付をバサバサやりながらぶつくさ。

まさよ船長からギニア湾交易のお誘いがきてやすが、お受けするって返事しちまいましたぜ。きっちり稼いどかねぇと、あっという間に干上がっちまうんですからね」
ホセはプリプリしながら船首の方へ行っちまった。
前檣楼で酒盛りはじめやがったスヴェンとバーニィに釘刺しに行くんだな。

ハンスと後甲板の露天テーブルへついて、首をまわすとジョーがまだ付いて来てた。

「突っ立ってねぇでそっちへ座れ。きっちりメシ食っとくんだぜ?これから忙しくなるからよ」

そうさ、この先オスプレイは大忙しなんだぜ。

一時おだやかな日差しと波にゆられて、メシ時を過ごす北海の午後だった。
posted by ブリアレオス at 11:58| Comment(2) | TrackBack(1) | Story of Hecatoncheir | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月30日

Hunting Osprey

cruise.JPG

運用試験を兼ねて北海を巡航中のH.M.S.Osprey


オスプレイは砲36門搭載のフリゲート艦だ。

藤原豆腐店謹製の頑丈な船体に、フナクイムシ対策用の銅板が貼り込まれてる。
こいつがなぜか、喫水線下だけ被覆すりゃあ足りるもんを、ご丁寧に舷側全体を覆ってある。
ま、薄い銅板一枚ぐらいじゃ装甲としちゃむしろ危ねぇような気もするよな。

まぁ、そいつぁいいとして、とにかくフリゲートは身が軽い。
巡航速度がある所へもってきて、舵の利きが恐ろしくいいんだな。
威力のある大砲を目一杯載せて上手く扱えば、かなり優秀な砲撃艦として使えるだろうな。
いや、使ってみてぇと思わせるだけの魅力がある。
現実にゃあ、よほど格下相手でもねぇと単艦対多数相手じゃタコ殴りにされんのがオチなんだが。

実際、戦闘ピンネースクラスでもやり方間違うとえれぇてこずっちまう。
まだまだ俺も精進が足りねぇな。

ま、あれだ。
ミサゴって鳥は水辺で魚食うんだが、たまに狩りに失敗するんだとよ。
波間の魚めがけて急降下してガッシと爪を立てたはいいもんの、思ってたより魚がデカかったりすると、そのまま爪抜きそこねて溺れたりすることもある。
それと同じってこったな。

そんなこんなで北海中心にうろうろしてた先週末だったわけだが、ウチの商会はまた人が増えた。
古馴染みの戦術家・ハートネットだ。

Heart.JPG

当商会待望のイスパニア人航海者。
リアルの都合で、なかなか主流のプレイ時間に来られねぇで寂しい思いもしてるんで、見かけたら是非遊んでやってくれ。
posted by ブリアレオス at 10:28| Comment(1) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月28日

ヘカトンケイル・クッキング

今日はちょいと時間が空いたんで、ラムと並んで船乗りに欠かせない保存食・塩漬け豚(塩豚)を仕込むとしよう。

用意するものは以下のとおり。

・豚肉   三枚バラとかのブロックを用意する。脂が気になるヤツぁモモとかを使え。
・塩    「伯方の塩」とかああいう塩。食卓塩でもいいんだろうが、気分の問題だな。
・ラップ  サランラップでもクレラップでも何でもいいぞ。

まず、豚肉ブロックは特売で100g99円とかで売ってるヤツでいい。
パックから出したら、水気をペーパータオルとかでとってからフォークで全体に穴をあけてまわる。
塩がしみやすくするためだが、適当にぶすぶすやってストレス解消してもいいな。

次に豚肉にまんべんなく塩をぶちまける。
で、全体にせっせと塩を揉み込むわけだな。
塩が触れてないところがないように念入りにやれ。
一心不乱にやれ。
肉を塩に埋める気でやれ。

揉み込んだか?

よし、豚肉が塩まみれになったら、ラップで豚肉をくるんで冷蔵庫へしまえ。
これで仕込みはおしまい。

簡単だろ?

塩漬けになった豚肉は、水気がぬけて身がしまって旨味が増していく。
「熟成」ってヤツだ。
塩の効き具合にもよるんだが、だいたい2週間くらいはこのままもつ。

念のために言っとくが、食うときは「塩抜き」してから食うんだぜ。
当然あとになるほど塩気がきつくなるんで、そのつもりでやってくんな。

あともうひとつ。
ラップでくるんで冷蔵庫へしまった豚肉は、ときどき様子を見てやること。
水気が沸いてる場合があるんで、そのつど水気を取り除く。

さて、仕上がりが楽しみだぜ。
posted by ブリアレオス at 15:54| Comment(3) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月26日

ミサゴ飛翔す

なお東地中海で、豆腐を待って来る日も来る日も釣り糸を垂れる俺。
よそ者は警戒するが本質的に人なつっこい地元の衆に、あっという間に補足され、ベイルートに続いてまたもお達者クラブに取り込まれそうになったんで、俺ゃあやむなくアレクサンドリアを出航した。

豆腐から船を受け取らにゃあ戦闘任務へは戻れねぇ。
けれど実際がとこ、スヴェンあたりは我慢の限界だ。
やむなく俺は、間に合わせに戦闘ピンネースでもこさえて訓練を再開する事にして、舳先をロンドンへ向けた。

雨はふるふる、日はうす曇る♪
舟はゆくゆく、帆がかすむ♪ とくらぁ。

ジブラルタルを抜けてイベリア沖を北上、ビスケー湾を横ぎりにかかった頃。
特急の伝書カモメが南から矢のように甲板へ飛び込んだ。
足環の符号は赤の6番。
間違いねぇ、もしもの時の事考えて地中海へ残してきた伝令役からだ。
豆腐発見だ。

「進路反転、引っ返すぞ!もたもたすんじゃねぇ、上手回しいくぞ!」

meeting.JPG

リスボンで、ひさしぶりの再会。
俺のすぐ横に立ってんのは同じくひさしぶりの再会になるしんちゃんだ。
二人とも元気そうでなによりだぜ。

osprey.JPG

そしてようやく受領した豆腐謹製・銅張りフリゲート「H.M.S.Osprey」。

ようやく戦闘再開ってわけだ。
posted by ブリアレオス at 09:43| Comment(2) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月24日

ゴドーを待ちながら

寄り道に寄り道を重ねて、はるばる来たぜベイルート。

泣く子も黙って裸足で逃げ出す、言わずと知れた造船野郎どもの聖地にして地獄。
東地中海の波洗うベイルート港手前の入り江には、所狭しと造船野郎どもがエサ抱えたラッコみてぇにズラリと並んで浮いている。
そのはるか向こうに霞んで見える赤茶けた山々は、大昔にゃでけぇレバノン杉がわさわさ生えてたらしいが、フェニキア人が船こさえんのに根こそぎ切り倒しちまって、今やハゲ山同然だ。
なんでもレバノン杉ってぇのは芽が出るまで4年も埋まってて、1年に半インチ足らずしかでかくならねぇんだとよ。
でかくなる前にガンガン切っちゃあ浮かべたもんで、後ろの山にゃとっくに木なんざありゃしねぇ。
それでも今日も明日も明後日も、造船野郎どもは浮き続ける。

人間ってヤツぁ恐ろしいよな。


さて、そんな造船屋に混じってどこかに浮いてるはずの豆腐が陸へあがってくるのを待って、俺ゃあ街角のカフェへ腰を据えた。
バーヌースを着込み、ご覧の通りの極悪なヒゲ面で、地元の暇なオヤジどもに混じって水タバコくゆらす姿は、どうもここらの人間からみても全然違和感がねぇらしい。
数日居るうちにすっかり仲間と認識されたらしく、かかぁの愚痴だの息子や孫の自慢だのひっきりなしに聞かされる。

「せがれの嫁のマリアム。これがよく出来た嫁でなぁ。ワシの寝台の敷布を毎日…」
「キレイに取り替えてくれんだろ。そいつぁ6回くらい聞いたぜ、イブラーヒム爺さんよ」
「この吸い口、ええじゃろう」
「孫のタミルがこさえてくれたんだろ。いい子だいい子だってハキム爺さん、昨日も言ってたじゃねぇか」
「近頃の若いのはなっとらん。だいたいしつけが…」
「甥っ子のハミドか。俺んとこへ連れて来りゃあ、泣いたり笑ったりできなくなるくれぇ叩きなおしてやるっつったろ」
「ねぇレイス・ブリィ、オヤツおくれよ」
「こら、ハキム、ガキがこんなとこ来てんじゃねぇ。とっとと家帰って母ちゃんの手伝いでもしろ」
「旦那、おめぐみを」
「死ぬ気で働きやがれ、ゴク潰し野郎」

豆腐はなかなかつかまらず、このままじゃあお達者クラブに取り込まれちまいそうになったんで、手近のアレクサンドリアあたりへ退避だ。
本格的に海事修行へ戻りてぇが、船がねぇこの状況。

fishing.JPG

仕方なくアレクサンドリア港の釣り天狗と化す俺だった。
posted by ブリアレオス at 10:55| Comment(3) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月23日

電源不良顛末控其之四

DELL屋からPCが戻ってきた。
回収してってちょうど1週間で帰ってきたことになる。

すったもんだしたわりにゃあ、電源ユニットだけ交換。
正直これでなおってんだか、いまいち信用ならねぇ。

今回の一連の騒ぎ(まだ片付いたとは限らねぇんだが)でつくづく実感したのは、サポート窓口のコミュニケーション能力の重要さだ。
コメント欄にも書いたが、DELL屋のサポートへ電話すると日本語の流暢な中国人が出る。
毎回じゃねぇが、打率6割くらいで出る。
俺ゃあ中国も中国人も好きだが、こういうややこしい場面じゃあ正直ちょっと遠慮してぇ。

事は故障だのなんだのって領分だろ。
こっちだって出来るだけ冷静に対応してぇが、そうもいかねぇ事もあらぁな。
こっちの言ってること、相手の言ってることがきっちり伝わらねぇと、要らねぇトラブルが起こりかねねぇもんよ。

ただでさえ、相手がきっちり仕事してんだか見て確認出来ねぇんだ。
「この味は、嘘をついている味だぜっ」てな印象になりゃあもう取り返しがつかねぇだろ。
「充実のサポート」を売りにしてぇんなら、そこいらへんもうちょっと考えた方がいいんじゃねぇか、と思った。

人事じゃねぇんだぜ、KOEIさんよ。
posted by ブリアレオス at 15:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月17日

電源不良顛末控其之参

よぉ。
お盆休みも終わっちまったが、元気にやってるか。

例の電源不良は相変わらずちっともなおってねぇ。
盆休みで実家へ帰ったりしてたこともあって、ちょいと海から離れてた。
実は海へ出ねぇで山へ登ったりしてたんだが、そいつぁここじゃ関係のねぇ話だな。

さて。

電源不良だが、こいつのせいでDELL屋とやり取りをはじめて早くも1ヶ月以上たった。
その間サポートへ電話すること6回、メール飛ばすこと10回、結果引き取り修理1回だったわけだが。
ついに昨日16日、ウチの本PCは2回目の回収修理へと引き取られていった。
前回の引き取りに使った回収ダンボールを片付ける間もなく再利用しての回収だった。
今度ぁマザーボードあたり載せ換えてくるんだろうが、そろそろ終わりにしてぇもんだぜ。
怪しそうな部品全部載せ換えてくれりゃあいいのにな。
何回も行ったり来たり、バカみてぇだ。

今回も多分10日ほどかけてのんびりと交換と検査(本当に検査やってんのか?)やるだろうから、戻ってくんのは月末か。
一夏ごっそり潰されちまった勘定になるな。
やれやれだが、それまでの間また予備機での細々プレイと更新になっちまう。
否応無くモチベーション下がり気味だが、毎度お運びの面々にはご面倒かけちまってすまねぇな。
posted by ブリアレオス at 10:11| Comment(6) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月10日

千鳥足航路

豆腐のいるベイルートへ向けて、いよいよロンドンを出航した俺だったが、なぜかドーバーの酒場に居合わせたビッグボス船長と話し込んじまって、まだイギリス海峡にすら入っちゃいねぇ有様だった。

ようやくドーバーを出航したものの、古馴染み見かけるとつい寄って行っちまうもんだからちっとも先へ進まねぇ。
霧の囁きの古馴染み、メリッサ船長とくりゃ放ってくわけにもいかねぇもんよ。
リザッド岬回りこんでダブリンまで寄り道だ。

Mellisa.JPG

ずいぶん久しぶりの再会だ。
ちょうど手元に、中東のどっかの街で投資の見返りに貰った工芸レシピがあまってた。
メリッサ船長は、今は用心棒なんてヤクザな稼業に手ぇ染めてるが、もとは工芸職人だったりもしたんで、俺が持ってても役に立ちっこねぇレシピをお手製・極上のコンポートと交換して貰った。
いやいや、いい取引だったぜ。

そんなこんなで、とにかくあちこちへふらふら寄り道しながらようやくベイルートへたどり着いた頃にゃすっかり眠気が回っちまって、豆腐がみつからなかったのもあって、あっさり寝床へ沈没しちまった。

やれやれだな。
posted by ブリアレオス at 23:28| Comment(4) | TrackBack(1) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月09日

What's your ship's name ?

お前ぇさん達、手前ぇの船にどんな名前をつけてる?
せっかく命預ける船だ。
思い入れ出来そうな名前のひとつもつけてやんのが船乗りの礼儀ってもんだと俺ゃあ思う。

名前つけんのにあれこれ迷う。
新しい船なりなんなり手に入れんのに、一番楽しい時間じゃねぇか?
俺ゃあ楽しい。

で、どんな名前をつけてるかって話よ。

俺の場合、Eurosの海で最初に乗った船につけた名前はcrayfish(クレイフィッシュ)。
「ザリガニ」のこったな。
二丁の大砲をハサミに見立てて、岸辺をゴソゴソ動き回るバルシャにゃちょうどよさそうな気がしたのさ。
ある程度まともな船に乗るまでは、ずーっとクレイフィッシュで通した。

ちょいとマシな船へ乗り換えたとき、ザリガニからの出世ってことで、船名をLobster(ロブスター)に変えた。
海軍勤めになって、頭に「H.M.S.」がつくようになったのもこの頃だ。
その後エビの仲間にゃもう出世するヤツがいなかったんで、船名はH.M.S.Anomalocaris(アノマロカリス)になった。
大昔の海に居たってぇエビの化け物の名前だった。

最近は、鳥の名前をつけてる事が多い。
例えば、今回廃船になっちまったH.M.S.Kestrel(ケストレル)。
ケストレルは、ハヤブサの仲間のチョウゲンポウの事だ。
例えば、H.M.S.Goshawk(ゴスホーク)。
ゴスホークはオオタカの事だ。
他にもH.M.S.Harrier(ハリアー)はチュウヒ、H.M.S.Buzzard(バザード)はノスリ。

ベイルートで待ってるフリゲートにつける名前も、もう決めた。
H.M.S.Osprey(オスプレイ)。
海辺で魚食うタカの一種、ミサゴ。
そいつが新しい船の名前だ。

お前ぇさんの船にゃあどんな名前がついてる?
posted by ブリアレオス at 14:47| Comment(7) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月08日

電源不良顛末控其之弐

どうもやっぱりダメだなぁ。

電源の直挿しなんてぇまじない程度じゃ、すっかり直るはずもねぇか。
あっさり普通に電源落ちやがった。

こうなりゃ長期戦覚悟で、じっくりDELL屋と対決だ。
HDD以外の部品ごっそり入れ替えさせてみるのも一興かもしれねぇな。

そもそも電源が落ちる異常で、いきなりビデオカードを交換してくるのが分かんねぇよな。

盆までに片付きゃあと思ってたんだが、こいつぁとんだ夏休みになりそうだ。

やれやれだぜ。
posted by ブリアレオス at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

回航、ベイルート

「今度の回航、どう思うよ」
掌帆長のバーニィが配給酒をすすりながら言った。
今、H.M.S.Phantomは北海にいるので、配給酒は多少マシなビールが配られる。

下層甲板後方の航海士テーブルへ二人は仲良く両足を放り出して座っていた。
時刻は午後直の五点過ぎ。
斜め後ろあたりのハンモックでは、非番のアンリがぐっすりと平和な寝息をたてている。
幾度となく辿った海路でもあり、熟練の域にまで育った水夫達は二人の指図がなくとも立派に船を前へと進めていた。

「ハンブルグ航路に鉄と石炭とくりゃあいよいよドンパチだ、そうに決まってる」
バーニィの質問を聞きながら、やや座った目付きでマグを睨んでいたスヴェンが低い声を押し出した。
このスカンジナビア産のヒゲ筋肉は、H.M.S.Phantomという船があまり好きじゃなかった。
船足は滅法速いが、この船には大砲が1門も載っていない。
ロンドンのドックでPhantomへの乗船が告げられると、それはつまりスヴェンの活躍の場である戦闘任務が回ってこないことを意味している。
やれやれ、今度H.M.S.Kestrelへ乗り換えるのはいつだろう。
この数週間というもの、スヴェンは毎日そんなことを考えてはセイウチの牙を削っていたのだ。

「あの鉱石の山は18ポンド砲になって、Kestrelの砲列甲板へ並ぶんだ」
スヴェンは断固とした口調で断言すると、マグのビールをぐいと飲み干して大きなゲップを吐いた。
眠い目の掌帆長はヒマさえあれば昼寝かスヴェンと口げんかばかりしていたが、二人は意外に仲がよかった。

「おう、それに違ぇねぇ。うん、違ぇねぇや」
マグへ追加のビールを注いでやりながら、バーニィはスヴェンの意見に賛成してやった。
「大砲に」
「百本腕に」
「聖ジョージに」
「拿捕賞金に」
かわるがわる唱えながら、互いのマグへビールを注いでは飲み干していく。

ロンドンはもうすぐだ。



ロンドンの街で束の間の上陸休暇の後、航海士連中に召集がかかった。
かけたのはもちろん、俺だが。
酒場の隅へ集まった連中に、俺は言い渡した。

「これより出港準備にかかるぞ。行き先は東地中海。物資の積み込み、すぐかかれよ。出航は明払暁。遅れんじゃねぇぜ」

すぐ動き出す補修班2人組とホセに対して、バーニィとスヴェンの2人は歯切れの悪ぃ顔つきで突っ立ったままだ。
なんだ、なんか文句あんのか?

「船長、船員全員を乗せ換えて、足りねぇ水夫を雇い足さねぇと到底出航なんざムリですぜ?」

なんだ、乗せ換えだ?乗せ換えなんざしねぇぞ?
聞くなりスヴェンはがっくり肩おとして落胆顔で聞き返す。

「船長、勘弁してくれよ、俺達ゃいつになりゃKestrelへ戻れるんで?」

「Kestrelへは戻らねぇ」
あっさりと答えてやったが、スヴェンのヤツぁ顔色変えてこっちを見てるし、なぜかバーニィのヤツまでハラハラしながら俺とスヴェンを見比べてる。

「け…Kestrelへ戻らねぇって…?」

「前のカリブ行きでしこたま弾喰らっただろ。竜骨やられてんだよ。もったいねぇがKestrelは退役、廃船だ」
見る間に血相変えたスヴェンは俺に掴みかかってきやがった。
感情的になると口より先に手が出るってのは、こいつの良くねぇとこだな。

「船長、そりゃねぇよ。また交易船の真似事ってのはあんまり酷だぜ。なぁ、船長よぅ」
かわりにバーニィが言い募った。
片耳でバーニィの言い分を聞きながら、とりあえずスヴェンを受け止めてバックフリップの要領で思い切りテーブルへ叩きつける。
年代物のテーブルが木っ端微塵に砕け散る。
突進する牛にデコピン食らわすようなもんで、スヴェンはひとまず動きを止めた。

「バカか、話は最後まで聞きやがれ。俺達ゃベイルートへ向かうのさ。ベイルートと言やぁ何だ、ホセ」

「造船業の一大メッカでさぁ。それよか船長、そのテーブルの修理代はどうすんで…」

「おう、そこで俺達ゃ船を乗り換えんのさ」
さえぎりながら続けてやる。
バカみてぇな顔でスヴェンとバーニィが俺をみる。

「豆腐の野郎が銅張りフリゲート仕上げて待ってんだよ。わかったか?わかったら遊んでねぇでとっとと出航準備にかかりやがれ」
やっと腑に落ちたのか、スヴェンはふらふら立ち上がってバーニィと二人敬礼すると、酒場のドアを蹴破って、歓声上げて桟橋の方へ走っていった。

あとには伝票もった酒場の主と、帳簿もったホセに挟まれた俺が残された。
posted by ブリアレオス at 16:25| Comment(2) | TrackBack(0) | Story of Hecatoncheir | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

電源不良顛末控

あいかわらずの電源不調で、まともに航海出来やしねぇ。
メーカー修理から戻ってきたが再発しやがってイライラ。

BIOSのイベントログだの何だのひっくり返して、恐ろしく情けない原因が炙り出されそうな予感が。
その原因とは。

電圧不足。

タコ足配線でPCつないでると、まま起こる事のあるトラブルであるらしい。
部屋へ配電されてる電圧自体が足りてない可能性もあるが、とりあえずの対処法としてPCへの電源をコンセントへの直刺しに変更してみる。
ひとまずこれで様子をみて、まだおかしいようなら、サポートの無料っぷりをフルに活用してマザーだろうが電源だろうがバカスカ交換させる腹を決めた。

さて、吉と出るか凶と出るか。

頼むから俺に心置きなく航海させてくれ。
posted by ブリアレオス at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月02日

中天をゆっくりゆっくり進んでいく太陽。
止まってんじゃねぇかと思うほどゆっくりと。

そして気味悪いほど静まって、細かな波しか浮いてねぇ海。

風が止まると書いて凪。
「なぎ」って読むんだぜ、ちゃんと読めるか?
文字通り風が止まっちまうのが凪だ。

向かい風だって風さえ吹いてりゃジグザグに進んで間切って進める。
けれどこれも風が吹いてなきゃ出来ねぇ相談だ。

風をはらむことなくダラリと垂れ下がった帆ってヤツぁ、見てるこっちまで気抜けしちまうほどやる気なさげに見える。
索具という索具には、ありとあらゆる布っ気が所狭しと吊り下げられて、これまたダラリと垂れ下がっちまってる。
風待ちのまじないのつもりだろうが、肝心の風がソヨリともしねぇとなると何とも痛々しいもんだ。

H.M.S.Phantomはインド洋の隅っこで、かれこれ5日ほども立ち往生してた。


「ボートだ、ボートを下ろして引っ張ろうぜ」
馬鹿でけぇ低音で、開口一番に言ったのはスヴェンだ。
今回のインド洋航海は調査と交易を主眼の予定だったので、半端な数じゃ場所塞ぐ割に役に立たねぇ大砲もとっぱずしてある。
野郎の担当する戦闘任務もねぇんで、ヒマ持て余して何でもいいから動きたくて堪んねぇんだ。

「バカぬかせ。Phantomの図体を手漕ぎでどこまで引っ張るってんだ。え、おい。カリカットか、タマタブか。500マイル先までせっせと漕ぐってのか」
珍しく居眠りもせず、すぐさま噛み付いたのはバーニィだった。
しごく正論だが、こいつが言うと単に昼寝の邪魔をされたくないだけに聞こえねぇこともねぇ。

「じゃあ、手前ぇはここで浮いたまま日干しになる気か」
「5マイルやそこら漕いだ所で、そこで疲れて止まっちまやぁどっちみち日干しだろぅが」
「手前ぇは日頃からのらくらしてるからいざという時役に立たねぇんだ」
「なにを、脳まで筋肉のスカンジナビア産熊野郎め」
「おう、やる気か。ロンドンの街スズメ崩れが。陸へ帰ってさえずりやがれ」
「こきゃあがったなヒゲ筋肉!」
「手前ぇの生皮剥いでドアへ釘付けにしてやるぞ、三月ウサギ野郎!」

あっというまにヒートアップして、テーブルへ片足かけて身を乗り出し、互いの胸倉掴んで睨み合う大男と痩せ男。
今にも殴り合いが始まりそうだ。
やれやれ、ますます暑苦しいじゃねぇか。
俺はとなりへ目で合図する。

互いが次の動作を起こそうと息を吸い込んだ瞬間。

テーブルにゴトリとカップを置く音がした。
それほど大きな音でもねぇんだが、思わず釣り込まれて二人は音のした方を見る。

への字に口を引き結んだままのハンスが、左手で顎ヒゲいじりながら二人の顔を上目遣いで見てる。
しばらくそのままの格好で胸倉掴みあってたスヴェンとバーニィは、どちらからともなく手を離すと、決まり悪げに腰を下ろした。

そこへ手を挙げたのは、さっきからアンリと二人掴み合いそっちのけ、小声のフランス語で相談してたトマだ。
ハンスがそのままの格好で目をやると、トマはおずおずと立ち上がって話し出した。

「えぇと…補修班としては特に問題もないので、俺なんかが口出していいんだか…」

相変わらず格好も変えずにハンスは目でうながす。
ハンスと、両足をテーブルへ放り出して天井を眺めてる俺を交互に見て、トマは続けた。

「この5日で、帆の修繕・点検は完了してますし、船体の補修も完全です。ペンキ塗りは2回もやりました。風さえ吹けばいつでも最高の状態で走れます」

しゃべりだせば結構堂々としたもんだ。
すっきりした目鼻立ちをやや紅潮させながら続けるトマの隣で、黙々とカップをのぞいてるアンリと、随分と好対照なこったぜ。

「むしろ問題は水夫たちの士気だと思うんです。浮いたまますることがないので、すっかり緩みきってます。何とか全員の士気向上を図るべきじゃないかと…」

色々と書き付けた紙片の束を片手に、ホセが挙手して立ち上がった。

「特配はこの状況じゃあ難しいですぜ。いつ動けるか分かんねぇ分、物資は大事にしねぇと。食い物はまだまだ半月やそこら問題ありやせんが、水の方がちょいと心もとねぇんでさ」

だいたい普段からの無駄遣いが…といよいよ熱弁ふるおうとしたホセの斜め前で、アンリがボソリとつぶやいた。

「何もすることがないってのがまずいですよ」

ハンスは発言者の顔を順々に眺めてたが、アンリの台詞聞いて軽くうなづいた。
つられてその場の全員がうんうんとうなづく。
それを横目にハンスが俺に合図する。

「あ〜、そうだなぁ。さすがに俺も風吹かすなんざムリな芸当だかんな。いつ風が吹くかってのはこりゃ神の野郎に任せとくしかしょうがねぇ」

テーブルから足を下ろして椅子に掛けなおしながら、全員へ向けて言った。

「ひとまず、現状で船が申し分ねぇ状態にあるってのは有難ぇこった。手前ぇら、いい仕事したぞ。で、だ。いざ風が吹いたって時にゃバーニィにスヴェン、お前ぇらがビシッと締めてかからねぇといけねぇんだぜ」

順繰りに銘々の顔をのぞきながら続ける。

「バーニィ、スヴェン。お前ぇら水夫連中を3班編成に組みなおせ。風が吹くまで通常シフトで夜は寝かせろ。見渡す限り水ばっかりだが、周辺の海域調査をやるぜ。潜りの出来るヤツは均等に割り振れよ。気分転換もたまにゃ要るってこった。補修班もまじってやるんだぜ。午後三点からかかれ」

おう、と答えて全員が動き出す。


3日後、ようやく吹いた東風を捕まえたH.M.S.Phantomは、海洋調査を中断して西へ走り出した。
posted by ブリアレオス at 17:57| Comment(5) | TrackBack(0) | Story of Hecatoncheir | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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