2005年06月28日

大砲撃戦時代(前史)

大砲屋なら、誰しも一度はやってみてぇのが多砲門による一斉砲撃だ。

圧倒的な火力でもって、有無を言わさず敵船を波間に葬り去る。
確実に相手に致命傷を叩き込める位置取りを狙う操舵手と、タイミングを計る砲手の阿吽の呼吸。
耳をつんざく轟音と目もくらむ砲炎。
濛々と立ち込める砲煙の晴れた後、マストをへし折られ索具という索具を吹っ飛ばされた瀕死の敵船が立ち往生する様を睥睨しつつ、その横を悠々とすり抜ける。
これぞ大砲屋のあるべき姿だ。

戦術的にはむしろ、兵員満載での接舷強襲の方がワリはいい。
なにより砲撃位置だの何だの気にする事がねぇし、張り付いちまえば腕っ節の強さでねじ伏せるパワープレイスタイルは勝負が早い。
(もちろん、こいつも上手と下手とじゃ手際の良さに雲泥の差があるわけだが)

とにかく、「相手に触れもさせずに一瞬にして倒す」ところが砲撃戦の醍醐味ってわけだ。


現状、鋳造師が揃えられる大砲1セットの上限数が14門なんで、側砲を最大まで載せた場合の砲門数は14×4=56門。
俺の場合は、残念ながらまだまだ戦闘ガレオンだのは手が届かねぇんで、戦闘ピンネースの42門が最大ってことになる。

ところがこいつがなかなかどうして。
これだけの大砲を自前で揃えんのはけっこう骨だ。
手前ぇでやってみて、はじめて思い知る鋳造師の苦労ってヤツよ。

今回俺が揃えにかかったのは、威力と射程がほどよくバランスのとれたデミキャノン式砲14門の3セット。
これをこさえるのに必要な資材数は、概算で以下のとおりだ。

・大砲×35 3セットなので×3で105
・砲弾×35 3セットなので×3で105
・鋼 ×35 3セットなので×3で105

元の材料は鉄材と石炭と石墨だ。
それぞれの製造数にゃあ運だの腕だのでばらつきが出るが、全部そのままの数が要ったとして勘定すると、鉄鉱石735、石炭630、石墨105。
実際にゃあもうちょい少なくなるはずだが、まぁざっとこれだけの資材を調達して回る必要があるわけだ。

かかる時間と手間たるや、ちょっと切なくなるほどだ。
俺みてぇな片手間鋳造師は、鉱石取引スキルなんぞ持ってねぇから輪をかけて切ねぇ。

我が身をつねって人の痛みを知る。
手前ぇら、鋳造師に足向けて寝るなとまでは言わねぇが、手前ぇらのぶっ放す14門砲が出来上がるまでの苦労にちょいと思いを馳せて、ささやかに感謝くれぇはしながら使うんだぜ。

で、揃えた42門のデミキャノンで何を撃ちに行ったか、ってのはまた次の話だ。
posted by ブリアレオス at 12:21| Comment(5) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月26日

不良軍人・ブリアレオス

さて、そんなわけで俺ゃあ軍人稼業へと戻ることになった。

returm.JPG

「それで貴官、インディアス方面でのイスパニア船襲撃作戦は…」

さっそく上官風吹かす偉いさんの言いかけるのを、筒状に丸めた任官辞令からのぞきながらさえぎる。

「さぁな」

勝手知ったる名ばかり海軍、給金はおろか予備帆の一枚も出やしねぇ。
何から何まで手前ぇで稼がねぇといけねぇんだ、好きにやらせてもらう。
ミドルトンの坊ちゃん嬢ちゃんみてぇにバカ正直にやってちゃあ、あっというまに干しあがっちまう。
奴らが路頭に迷おうが、アムステルダムの優男と痴話ゲンカしようが勝手だが、俺ゃあ手前ぇの船を守るのが第一だ。
ウチの連中を食わせんのが先ってわけだ。

インディアスだのなんだのは、その後だな。

「貴官、そっ、そんな勝手が…」

この偉いさんは、前にもとっくり言い聞かせてやったような気がするが、まだ分かんねぇらしい。
任官辞令の筒のぞいたままで、空いた左手で偉いさんにアイアンクローをかまして、机越しに引きずりよせる。

「俺に命令出来んのは俺だけなんだよ。分かったか?」

手を離してやると偉いさんはバカみてぇにガクガクと首を縦に振った。


ややこしい事務手続きを全部ハンスに任せると、俺ゃあ久々にロンドンの街へ繰り出した。

fiveroses.JPG

ウチの商会、「Oceanblue Roses」の連中が広場に集まってた。
バカに忙しくしてる豆腐のヤツと藍庵、ファンさんと3人の姿がねぇのが残念だが、普段は世界中に散らばっちまってるメンバーが一同に会することが出来て何よりだ。

お前ぇさん達と同じ旗背負って航海出来んのが、俺ゃあうれしい。


その後、俺ゃあ「青き薔薇の園児」ことしんちゃんと2人して、海事訓練にバルト海へ向かった。

rosesfleet.JPG

すっかりなまっちまってて、しんちゃんに随分助けてもらっちまった。
ガンガン訓練やって、カンを取り戻さねぇとな。

ともかく、俺ゃあ帰って来た!
posted by ブリアレオス at 21:39| Comment(5) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

百本腕、海へ帰る

「ふむ…よかろう。この水準が維持出来るなら及第点じゃ」

鋳造師ギルドのウンベルト親方は、俺の提出した砲身のサンプルを眺めながら、眼鏡をかけなおした。

「しかし勿体無いのぅ」

差し出した俺の右手を握りながら、親方はため息をついて俺の顔をしげしげ覗き込んだ。

「このまま精進すれば上級マイスターにもなれるというに」

「勘弁してくれよ、これ以上燻されてちゃあ潮っ気まで抜けて干物になっちまうよ」

笑ってごまかすと、俺は羊皮紙に必要事項を羽ペンで書き込んで親方へ渡した。

「申請と発給手続きはこっちで代行させといてやるわい。受取と入金はどうするな?」

「一度ロンドンへ戻るんで、そっちへ回してもらえると有難ぇ」

戸口まで歩いた俺は、最後に振り返って親方に深々と頭を下げた。

「親方、世話んなったな。トマスのとっつぁんにもよろしくな」

ウンベルト親方は、書類から目だけあげると、右の眉をひょいと吊り上げて見せた。



長かった鋳造修行の日々はひとまず終わった。
ロンドンへ戻り次第、軍籍復帰してひとまずは哨戒任務あたりからカンどころを戻していこうって寸法よ。


酒場の隅に陣取って、安酒すすりつつ俺の戻ってくるのを待ってた航海士どもに、俺は明朝の出航を告げた。
バーニィやスヴェンはさっそく新入りが使い物になるまでの訓練計画を練りはじめ、縫帆担当のトマは配下の水夫に予備帆の追加調達指示をだし、アンリは予備資材の必要量を割り出しにかかる。

副長のハンスのヤツぁ船で留守番してるからいいとして、ホセの野郎はどこ行きやがった?

ここしばらくの陸暮らしで、鋳造修行の片手間で引き受けていた鍛冶仕事は、ホセのヤツのマネジメントで一大事業に成長しちまってた。
今や「ヘカトンケイル鉄工所」と言やぁ、界隈で知らねぇヤツの居ねぇほどだ。
毎日ドンパチやってた頃と比べると、経済事情は比べ物にならねぇほど好転した。

そこまでにしたあいつのがんばりは分かるが、俺ゃあやっぱり船乗りだからな。
陸の鍛冶屋で終わるワケにゃあいかねぇ。
ヤツぁウチの船にゃあ珍しく、算盤勘定の得意な重宝な男だったが、場合によっちゃあ代わりを探すのもしょうがねぇかもしれねぇ。
手前ぇの行きたい道を行くのがウチの船じゃあ決まりごとなんだ。

ヤツのことだ、また鍛冶の注文とって回ってるかもしれねぇ。
俺ゃあヤツの立ち寄る得意先へ、先回りして待つことにした。

日もじき海へと沈む頃、通りに面した家を一軒一軒訪ねながら、ホセの野郎がこっちへ向かってやって来た。
野郎、やたらと割れ鍋やら何やら抱えて戻ってきてたが、こんなくまなく注文聞いてまわってやがったのか。
急速に薄暗くなっていく路上で、ホセのヤツはそれぞれの戸口で何度も頭を下げている。
潮風にのって、声がきこえてくる。

「…えぇ、そうなんですよ。今度、ウチの大将が海へ戻ることになりやしてね、今までみてぇに御用伺いに上がれなくなっちまうんでさ。いやいや、止してくださいよ。大将にゃああっしがついてねぇとダメなんで。もう、算盤がからっきしなお人なもんでね。えぇ、そういうわけで、陸へ参りました際はまたよろしくお願いしまさぁ…」

俺ゃあ黙って回れ右すると、店じまいを急ぐ染物屋の戸を蹴破った。



明朝、出航を間近に控えてごった返す船上で。

「ホセ、帳簿が済んだらこいつを船尾へ揚げろ」

昨日、染物屋に無理やり染めさせたそいつ、百本腕の巨人をデザインした「Hecatoncheir's Iron Works」の旗を翻しつつ、H.M.S.Phantom はハンブルグを出航した。
posted by ブリアレオス at 15:32| Comment(1) | TrackBack(0) | Story of Hecatoncheir | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月19日

気晴らしのカリカット航路

日ごろの疲れかなんか知らねぇが、この頃妙に眠いんだな。
今日もうつらうつらしながら、北海往来だ。

西はダブリン、東はユトランド半島の向こう側リューベックまで。
行ったり来たりを繰り返しながら、鋳造仕事をこなす日々。
あと少し。あと少し腕を上げりゃあ、俺ゃあ元の軍人稼業へ戻るつもりだった。

だが、こいつぁ何度も書いてるようになかなか厳しい。
気の短ぇ俺なんかにゃあ特にな。


煙突という煙突から石炭煙がたなびくハンブルグ。
ため息つきながら、出来たばかりのマスケット銃の積み込みをハンスに指示して、俺はそこいらの空き樽に腰掛けた。

と、船着場へ続く石畳の道を、こっちへ歩いてくる帽子の男が手を振った。
豆腐だ。
なんか妙に普通にこざっぱりした格好してるんで、誰かと思ったぜ。

「ブリさん、これからカリカット行くけどいくかい?」

なんでもマスケット銃をカリカットまで持ってくと、これまた大した値段で売れるらしい。
ひたすらの北海往来にいいかげん飽き飽きしてたんで、カリカット行き即決。
150丁のマスケット銃と、積めるだけの水と食い物を満載して、俺達ゃハンブルグを出航した。
途中、リスボンで最後の補給を済ませた俺と豆腐は、交代で先導しながら一気にアフリカ沖を南下した。
海賊が網張ってるってんで、ケープのはるか沖合いを迂回してインド洋へ入る。
そのまま大雑把に東北東へ舳先を向ける。
あとは、カリカット周辺の海賊に用心するだけだ。

と、思いきや。
行けども行けども陸地が見えねぇ。
陸地は見えねぇが、俺達も場数踏んでるからな。
水は豆腐が雨のたびに溜め込むし、食い物もせっせと魚を釣るんで、二人ともあまり気にしねぇ。
そのうち着くだろ、なんてのんきに構えてたらようやく前方に陸地が見えてきた。
見えてはきたが、どうも前にみたインドの海岸線と違うんじゃねぇか?
あれこれ測量して、あんまり充実してねぇここいらの海図と照らしあわしてみる。

あ、なんだこりゃ。
スマトラ島じゃねぇか。
通過しちまってんじゃねぇか、インドを。

ってんで、また大きく旋回、方向修正。
やっぱりダメだな、北海あたりに閉じこもってちゃカンも狂うってもんだ。

tofuexe.JPG

やっとこ到着、カリカット。

かかった日数は、なんと…

126.JPG

やれやれだな。


追伸:シュリイルへ
お前ぇさんからの便り、確かに受け取った。
新しい名を手にしたら、北海あたりで俺を探してみてくんな。
お前ぇさんが来るのを待ってるぜ。
posted by ブリアレオス at 22:00| Comment(4) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月16日

「グロッグ」追補編

前に書いたグロッグのレシピだが、別の資料にゃあ3倍の水で割る、とある。
(岩波書店刊 「輪切り図鑑 大帆船」Amazonで注文して買っちまった。面白い本だ)
気になったんで文明の利器・うぇぶ検索ってヤツで調べてみると、出るわ出るわ。

既出の半パイント:1/4パイントに加えて、同量ずつ混ぜるもの、熱湯とレモンジュースで割るもの(砂糖も入れる)、各種果物ジュースで割るもの、果てはラムじゃなくてワインのお湯割りだったりすんのもある。

どうやら、時代が下るにつれて水の割合が上がってるみてぇな感じだな。
元の割合じゃ、マストから落ちるヤツが続出しそうだもんな。
そもそも最初は半パイントのラムを1回に支給してたってぇから、肝が太いってぇかバカというか。
俺達の時代、16cの有様は、想像するだに恐ろしいもんだ。

ラムはサトウキビの絞り汁からこさえる蒸留酒。
とにかく安くて強ぇ。
アルコール度数も似たり寄ったりのウィスキーの、値段はほんの半分だ。
酒はとにかくなんでもそうだが好みってもんがあるんで、まぁ飲んでみな、とも言いにくいが、試してみようってヤツぁ、アイスクリームのラムレーズンあたりからチャレンジするといいかもしれねぇ。
どんな酒でもコーラで割りゃあ、そこそこ飲めるようになっちまうもんだが、ラムをコーラで割ると「キューバ・リブレ」、ライムジュースで割ると「ダイキリ」ってぇカクテルになる。

で、たぶん21cのバーへでも繰り出して、バーテンにちょいと気取って「グロッグ」とか注文すると、お湯割りのラムにシナモンが突き刺さって出てくることになってるみてぇだぜ。
蒸し暑いこの季節にゃあ、ちょいと遠慮してぇ代物なんで、用心しろよ?
posted by ブリアレオス at 22:59| Comment(1) | TrackBack(0) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月15日

青い薔薇は蔓を伸ばす

ここんとこ、立て続けにウチの商会に人が増えた。
そのたびに鋳造修行で篭ってる北海から、登録本拠地のナポリまでいちいち回航して行かねぇといけねぇわけだが、ま、こいつも嬉しい手間ってヤツよ。

今回新たに加盟してくれたナイスガイどもを軽く紹介しとこう。


嵐を呼ぶ「青き薔薇の園児」野原しんのすけ。
イングランドの新興住宅地・春日部出身。
美紅の紹介で加盟。目下白兵修行中。
将来た〜の〜しみ〜だ〜♪とくらぁ。

余談ながら、しんちゃんが自己コメント欄を「青き薔薇の園児」と書いたのをみて、商会内で自己コメントを「青き薔薇の〜」と書き換えるのが流行。
現在、俺の通り名は「青き薔薇の酔いどれ」と、ただの酔っ払いみてぇになってるが気にすんな。
だいたいがあのコメント欄、字数が全然足りねぇよな。

でもって、もうひとり。

前々から加盟宣言してもらってた「青き薔薇の卵」(自己申告)ケイロン。
その名は名高き半人半馬の賢者から来てるってぇポルトガル出身の冒険野郎だ。
商会内では俺、美紅に続く3人目のブログ書きでもあるんで、ぜひのぞいてやってくんな。

これで、Oceanblue Rosesも都合8人所帯になった。
独立独歩の「青い薔薇の旗」を掲げるだけに、なんと全員が一同に会したことがねぇってぇ体たらくだ。
それもまぁ悪くねぇと思わねぇでもねぇけどよ。
ここんとこちょいと忙しい藍庵の野郎(公式BBSの意見書き込み、面白かったぜ)や、陸(おか)で羊皮紙の山に埋もれてひぃひぃ言ってるスティチのヤツが落ち着いたら、ぜひ勢ぞろいといきてぇもんだ。

それにつけてもちょいとばかり残念なのは、せっかく現イスパニア領・ナポリに本拠を間借りしてるってぇのに、ウチの商会にゃあ一人もイスパニア人がいねぇ。
我こそ、ってぇ酔狂なイスパニア人が居りゃあ大歓迎なんだがな。
posted by ブリアレオス at 09:56| Comment(3) | TrackBack(1) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月12日

鋳造修行中のひとコマ

ん?お前ぇはこないだ乗り組んだ新入りだな。
名前は、えーと…ジョー?そうだな、ジョーだ。
歳はいくつだ、16?おう、俺も海へ出たのはそんなもんだったぜ。

どうだい、ジョーよ。
メシはきっちり食えてるか?ちゃんと1日3回食うんだぜ。
マストにゃ上手くのぼれるようになったか、そうか、あと5秒縮まりゃ上出来だ。
故郷(クニ)にゃあマメに手紙出せよ。
なに、字が書けねぇ?だったらバーニィかホセに代筆してもらやぁいいや。

そいつぁそれとして、だ。

確かにな、船の上で上手くやってくにゃあ2つだけ気をつけろって事になってる。

動くものにゃあ敬礼して、動かねぇものにゃあペンキを塗れってな。

バーニィからそう言われた?
おう、ヤツぁ新入りの教育係だかんな。

いいか。もうひとつ、気つける事を教えてやろう。

船尾甲板で考え事してる俺にゃあペンキ塗らねぇでいい、ってことだ。
例え丸一日突っ立ったまま動かなかったとしても、だ。
わかったか?

わかったらバーニィの野郎を呼んで来い。
posted by ブリアレオス at 21:09| Comment(4) | TrackBack(0) | Story of Hecatoncheir | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月09日

へべれけ大航海

余談ながら、昨晩ちょいとした実験をやってみた。

18Cってぇから、ずいぶんあとの時代になっちまうんだが、イングランドが大英帝国なんつってイキがってた頃。
海軍じゃあ、水夫に毎日酒を支給してたんだな。
通称「グロッグ」ってぇんだが、こいつを実際にこさえてみようと思ったわけだ。

●グロッグのレシピ
材料
・ラム酒 半パイント(約236CC)
・水   1/4パイント(約118CC)

早い話がラムの水割りなんだが、こさえてみて途方にくれた。

量がものすげぇ。

コーラやなんかのボトル缶1本分くらい出来上がっちまった。
水夫はこいつを1日2回に分けて支給されてたらしい。
配給1回分くらい飲んだところでグラグラに酔いが回ったんで、残りはストックしてコーラで割って飲むことにした。
いやぁ、酔っ払った。

恐ろしいことに大英帝国海軍では、さらにメシの範疇として、1日ビール約4.5リットルが支給されてた事もあるんだと。

大英帝国海軍ってぇのはへべれけの寄り合いみてぇなもんだったんだな。
posted by ブリアレオス at 18:27| Comment(9) | TrackBack(1) | 航海日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

青い薔薇の近況

ひさしぶりに北海を出た俺ゃあ、ジブラルタルを抜けて地中海へ入った。
目指すはナポリ。
ウチの商会、「Oceanblue Roses」の本拠地だ。

幸いに、ジョヴァンナはまだ俺の顔を覚えてた。

jovanna.JPG

美紅のヤツが知り合いに声かけて、商会入りってことになりそうだってんで出張って来たわけだ。

ウチの商会は、縛りが全然ねぇ。
縛りがねぇってことは裏を返せば、手前ぇのやる事ぁ手前ぇで決めるって事だ。
商会挙げて国のためにどうこうってぇのも、そもそも国籍がバラバラなんでやらねぇ。
互いに手ぇ貸すことはあっても、常に団体で動くなんて事ぁこれまでに一度もねぇ。
俺が面倒くせぇのが嫌いってのもあるが、どいつもこいつも独立独歩で動いてる「一国一城の主」だかんな。
俺がいちいちあれしろこれしろ、ってぇのも妙な話だろ。

世の商会ってぇもんが、どういうもんかは知らねぇが、ウチはまぁそんなもんだ。
商館もって商売に励んでるわけでもねぇし、血相変えて海賊退治に出張ってくでもねぇ。
せいぜいフレンドの延長みてぇなもんかもしれねぇが、同じ「青い薔薇の旗」を背負ってやろうって心意気と洒落っ気、仲良くやろうやって気分とで成り立ってるこの奇妙な集団を、俺ゃあ何より大事に思ってる。

だから、そういう気分と気概が分かるヤツなら、来る者拒む理由は無ぇ。
Eurosの海へ漕ぎ出しちゃみたものの、なんか毎日充実しねぇ、連るむ相手がいねぇってぇアンタ。
気が合いそうだと思ったら、ナポリを目指してみるといい。
posted by ブリアレオス at 17:32| Comment(1) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月08日

鉱物商・ブリアレオスの憂鬱

いやぁ…盛大に間が空いちまった。

これだけ更新が滞ると、せっかく見に来てくだすった皆様に愛想尽かされやしねぇかビクビクもんだ。
最近は画もねぇからなおさら気が引けちまう。

で、その間何をやってたか。
勿論せっせと鍛冶仕事だ。
鉄と石墨と石炭と銅と亜鉛と鉛と錫と、そしてそれらの合金がこの1週間の俺の全てだった。

「Hecatoncheir's Iron Works」の看板も、しょうがねぇから架けたまま。

「こいつが多角経営ってヤツですぜ、船長!」

ホセの野郎は張り切って近所の御用聞きに飛び回って、得意満面だ。
いまやすっかり「ヘカトンケイル鉄工所・営業部長」ってとこだ。
ヤツにゃそういう才能があったんだろうな、鍋だの釜だの鉈だの細々した注文がひきもきらねぇ。
懐もすっかり潤っちまったが、無性に大海原が恋しい。
鉱石の買い付けに、船を出してる束の間の海は余計に俺の心を沖へ沖へと引っ張るわけだ。
俺が北海で燻ってる間に、ヤツらはどこまで行ったろう。
ナポリの穏やかな潮風が、イスタンブールのバザールの喧騒が、サロニカの夕暮れ空が、シエラレオネの焼け付くような陽光が、カリカットの気だるい湿気が、俺の頭ん中をぐるぐるまわる。
あぁ、海原へ帰りてぇ。

そんな思いを鬱々と抱えながらひたすらハンマーを振るい続けて、俺ゃあようやく自力でマスケット銃をこさえられるようになった。

masket.JPG

マスケット銃ってぇのは、それまでの火縄で点火するアルケブス銃と違って、火打石を使うフリントロック式ってので点火をやる最新式の銃だ。
その後この手の銃は、銃身の筒ん中に溝をきったり、点火装置がさらに改良されたり、弾も銃口から押し込まなくていいようになったりしていくわけだが、そいつぁまた別の話だな。
とにかく、当世最新式の新兵器ってシロモノで、ちょっと後の話だが、フランスじゃあ軽量化されたこいつを、近衛の精鋭部隊に装備させて「近衛銃士隊」なんてぇのをこさえたりもしてる。
ま、そんな具合な最新式だが、あいかわらず水にゃ弱いし射程も知れてる。
弾も火薬も銃口から押し込むってのもあいかわらずで、がんばっても1分で3発くらい撃てりゃ上出来、おまけにこいつが当たらねぇってんで、まぁ戦争ってのも割に合わねぇもんだよな。

「最新式」ってのが珍しいのか知らねぇが、とにかくこいつがバカに売れる。
人殺し道具せっせとこさえてるってのもちょいと切ねぇが、もうちょっとの辛抱だ。
海原が俺を呼んでいる。

待ってろ手前ぇら、血沸き肉踊る波乱万丈の大海原はもうすぐだ。
posted by ブリアレオス at 13:41| Comment(3) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月01日

続・鉱物商・ブリアレオスのその後

こう毎日毎日カナモノの精錬ばっかりやってると、正直いって船乗りだか鍛冶屋だか分かんねぇようになってくる。
俺のフイゴに槌さばきもすっかり板についちまって、入港中ヒマもてあました水夫どもが、そこらのおかみさん連中から引き受けてくる包丁やらナイフの打ち直しやってたりすんだよな。
なに、鍋の穴塞いでくれ?しょうがねぇな、そこらへ置いて行きな。
裁ちばさみの研ぎなおし?そりゃあウチじゃねぇ。2軒隣のトマス親方んとこでも行ってくれ。

鍛冶仕事持ち込んでくるヤツがバカに多いと思ったら、誰がかけたか知らねぇが、作業場の軒先に「Hecatoncheir's Iron Works」なんて小洒落た看板が揺れていた。

…海にいるより陸(おか)でハンマー振るってる時間のが長いってぇのはこりゃちょいとまずい。
このままじゃあ、街の鍛冶屋に納まっちまうのも時間の問題だ。
危機感を覚えた俺ゃあ、とりあえず看板かけやがったホセの野郎にパイルドライバーを叩き込んで、北海を出来るだけうろうろしながら鋳造修行することにした。

遠くダブリン、プリマスから、鋳造師がこぞってブーメランするハンブルグ、ユトランド半島の向こう側リューベックと、とにかくこまめに移動しながら行く先々で精錬だの何だのをこなすわけだ。
効率ってぇ意味から見りゃあ、おおよそムダの多いやり方なんだろうが、俺にゃあ延々とハンブルグに篭って鍛冶仕事するのは耐えられねぇもんでな。

そんなこんなで迷走しながらも、やっとこ俺ゃあ自力で青銅の鋳造をこなせるまでになった。
青銅ってのはご存知のとおり銅と錫の合金だ。
湯になる温度がそこそこなんで、鋳物こさえるにゃあうってつけだ。
大砲の砲身にも使うが、なにせ融点がそう高くねぇもんで、数撃つとたちまちガタが来ちまう。
それでもこさえんのがカンタンなもんで、現状大砲の主流に納まってる。
もうじき手の届く真鍮製やら、質のいい鉄でこさえた鋳造砲身もあるにゃああるが、こいつもまぁ同じこった。
割れちまったり、溶けてくっついちまったり、なかなか大砲扱うのも難しいわけよ。
昔ゃあ、鍛冶屋がトンカンやった鍛鉄の板を溶接して無理やり筒にして砲身こさえたってぇから恐ろしいよな。
ぶっ放してると何発目かにゃ砲身が破裂するってぇ物騒なシロモノだったらしいぜ。

いずれ大砲ってぇのは消耗品だが、少しでも長持ちするいい大砲こさえられるように、もうちょっと鍛冶屋稼業に甘んじるとするか。
posted by ブリアレオス at 18:52| Comment(3) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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