2005年05月31日

鉱物商・ブリアレオスは何をしているか

来る日も来る日も北海を行き来し、石炭の煙で燻されて。
船倉にゃあ味も素っ気も色気もねぇ、鉱石が満載ときたもんだ。

買い付けてきた鉱石を、船着場の近所に借りた作業場へ運び込み、片っ端から炉へ放り込んで精錬する。
どれも高い熱が要るんだが、とりわけ鉄は面倒くせぇ。

カナモノとくりゃあ昔っから鍛冶屋の領分だが、連中がトンカンやってんのは、言ってみりゃ生焼けの鉄をぶっ叩いて、不純物をこそげ落としてるようなもんだ。
ああやってこさえる鉄は鍛鉄ってんだが、なにせ叩くしかねぇんで加工すんのが難しい。

その点、鉄を湯になるまで熱して、砂でこさえた鋳型へ流し込む鋳鉄は、溶かすとこさえクリア出来りゃあ加工がラクだ。
なにせ火傷に気をつけて流し込むだけだかんな。
もっとも、湯にするまで温度を上げてやるのもなかなか難しい、こいつぁヨーロッパじゃあ最新中の最新技術なんだぜ。
こうやってこさえた鉄は、硬いし鋳型のとおりの形に出来んだが、手間のかかる鍛鉄に比べりゃ割れたり欠けたりしやすいんで、剣やら鎧やらにゃあ向いてねぇ。

ここできっちり腕あげて、硬くて丈夫なカナモノを扱う技術を身につけりゃあ、いい砲身が出来るってもんよ。

それにつけても不思議なのはだ、弾丸と砲弾に鉛じゃなくてわざわざ鉄を使わせる工業品ギルドの基準だよな。

早いとこ鋳造修行おわらせて、広い海原へ出て行きてぇや。
posted by ブリアレオス at 22:18| Comment(3) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月23日

それぞれの大海戦

「今度ぁケープが標的らしいなぁ」

ギニア湾を斜めに南下中だった。
高速移動用にあつらえた武装サムブーク(武装は取っ払っちまってるが)H.M.S.Phantomの後部甲板で、卓に広げた海図を見ながら言った。

「どうもそうらしいねぇ。ブリさん、参戦すんの?」

海図に予定航路を書き込み、のんびり答えたのは、おなじみ藤原豆腐の二代目だ。

「その気があったら、こんなとこ航行してねぇよ」

巷の噂じゃあ、近々ポルトガル海軍の大攻勢が、アフリカ最南端の要衝・ケープめざして押し寄せるだろうってことになってた。
それに呼応して、イングランド海軍も続々とケープめざして防衛艦隊を送り込みつつあった。
一触即発の緊張状態ってヤツだな。

もっとも俺たちにゃあ関係のない話だが。
国の都合だの何だのは置いといて、とにかく気の乗らねぇことには関わらねぇのが俺たちの流儀だ。
現に豆腐のヤツぁポルトガル人、俺ゃあイングランド人だから、順当に行きゃあ敵同士って事になって、こんなアフリカ沖でのんきにコーヒーすすってる場合じゃねぇってことになる。

やる気のあるヤツ、うちの商会じゃあスティチの野郎や美紅は乗り気だったんで、きっと獅子奮迅の働きをするだろう。
それぞれが、それぞれの思うところを行うってのが青い薔薇の旗の決まりごとだかんな。


「便乗する海賊連中もケープへ集結してるってぇから迷惑な話だよな」

あくびをかみ殺し、俺は海図のケープんとこへ赤くバツ印を入れた。

「それじゃあ、沖合いへコースずらして通過しちゃおう」

豆腐はケープ沖合いをぐるっと迂回するコースを書き込んで、マグのコーヒーを飲み干した。

「補給はなしでも行ける。様子見てタマタブへ寄るか決めるとしようぜ」

おおよその経過予定日数を、頭の隅で計算しながらマダガスカルの補給港へ赤で印をつける。

「了解、そのセンで行こうか」

立ち上がった豆腐は、海図の写しをくるくる丸めてポーチへしまい、ゆっくり併走する2隻の船の間に渡したロープを滑車で渡って手前ぇの船へと戻っていった。

両方の船の間であわただしく手旗信号が交わされ、水夫どもが走り回って展帆してゆく。
グッと船足を速めて前へ出てゆく船尾甲板から、豆腐のやつが敬礼するのにジョッキをあげて答礼すると、俺は振り返って声を張り上げた。

「総帆展帆かかれ!前走船を半ノット開けて追尾!ヤツぁ速ぇぞ、遅れんな!」
posted by ブリアレオス at 14:43| Comment(7) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鉱物商・ブリアレオスのその後

豆腐エキスプレスでもって、数度にわたるインド往復航海をこなした結果。
俺の手元にゃあ世に言う巨万の「胡椒マネー」と「野郎も一丁前の商売人の端くれになりやがった」ってぇ世間の評判とが転がり込んだ。
正直、胡椒の運搬ぐれぇで商売人呼ばわりされんのも、本職の商売人に申し訳ねぇくらいだが、まぁ経済の基本ってヤツはイヤってほど思い知った。

前にも書いたが、「安く買い叩いて、高く売り抜ける」。
正味このシンプルな原則をどれだけ上手く実現するかで勝負は決まる。

ほんの片手間のつもりで始めた交易だった(正直言うと、操船条件の為だな)んだが、こいつぁ奥が深いところへ持ってきて、意外と俺の性に合うかもしれねぇ、と最近の俺は考えてる。

何せ俺ゃあ平和主義者だからな。

今そっちで小首かしげたヤツ、きっと今時分はテムズの水も温んで水泳にゃ持って来いだぜ。
日陰の石畳もひんやり気持ちがいいだろな。

そいつぁさておき。
ちょうどスキル枠も1個増えたので、ようやく「鋳造」を覚えてみた。
まだまだ大工道具だの予備舵だのこさえてるだけだが、こいつも結構面白そうだ。
売り物にするほど大砲造りのプロになろうたぁ思わねぇが、手前ぇの大砲間に合わすぐれぇにゃなってみてぇ。

そんなわけで、まだまだ当分俺の鉱物商生活は続く。
posted by ブリアレオス at 12:45| Comment(1) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月19日

カリカット・インパクト

鉱物商になった俺は、いきなりカリカットに居た。
交易に関しての師・藤原豆腐の二代目に引っ張られて、交易の生々しい実態を見に来たわけだ。

交易の基本は、安く買い叩いて高く売り抜けることだ。

ガキでも分かるこの理屈に、実際にゃあ色々な事情ってやつが付いて回って物の値段ってもんは決まる。
関税だの希少性だの損得抜きの人情だの、ま、事情は色々あるよな。

で、実際にその見本みてぇなシロモノが「胡椒」だ。
モノ自体は吹けば飛ぶほどのちっぽけな、乾かしたツル草の実に過ぎねぇ。
一樽250ドゥカードそこそこで買えるほどの、ごくごくありふれたもんだ。
が、こいつぁヨーロッパじゃ採れねぇ。

ロンドンのそこそこの食堂あたりで、ローストビーフに粗く挽いたこいつをパラパラ振ろうと思うだろ?
そうすると、はるばるインドくんだりから運んでくるしか手がねぇわけだ。
インドじゃ売るほどあっても、ロンドンにゃねぇ。
間にゃあサラセン人もいるから、運んでくるのも一苦労だ。
「希少性」だの何だのって理屈が働いて、売値はなんと買い付けた時の20倍以上。

噂にゃ聞いてたが、開いた口がふさがらねぇってのはこのことだな。
交易の基本中の基本、「安く買って高く売る」をこれだけ強烈な形で体験すりゃあ、そりゃ並みの近海交易で得る経験なんざぁ比較にならねぇ。
俺ゃあ、商人衆の底知れねぇ恐ろしさってもんを感じた。

さっさと元手を稼いで、真っ当な鉱物商をやろうと思った一日だった。
posted by ブリアレオス at 13:02| Comment(2) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月18日

鉱物商・ブリアレオス

「ナニ?辞職?貴官、正気か?」

海軍当局のエライさんは、俺を見上げて目ぇむいて言った。

「こっ、この国家の非常時に!貴官そんな勝手が通ると思っておるのか!」

俺はヤツを見下ろしながら、腕組みしたまま答えてやった。

「通しにわざわざ出張ってきてんじゃねぇか。お前ぇさん相手に冗談言いにくるほどヒマじゃねぇんだぜ?」

なお言い募ろうとする奴さんの顔面を片手で掴んで引きずり寄せると、俺はヤツの耳元で言った。

「悪ぃが、今は気がのらねぇんだよ。士官やりてぇってヤツぁ山ほどいるだろ?」

野郎も妙にねばりやがって、結局予備役へ編入ってぇ名目(名目なんざどうでもいいが)で、俺は士官の身分から解放されることになった。

なんでまた俺が急に士官をやめにしたのか。
まぁ言ってみりゃあ、もっと手前ぇの船乗りとしての幅を拡げときたかったってこった。

強くなるにゃあどうすりゃあいい?
手前ぇの強いとこをより強く、弱いとこを強く、スキをなくしていくわけだ。
俺ゃあこうみえて用心深い。
石橋は叩いて落として渡らねぇこともあるぐれぇなもんよ。

で、俺ゃあ今回は弱いとこを強くする手でいくことにした。

有難ぇことに、何をしてても「俺は俺」だと思ってくれる人様も多いみてぇだ。

俺ゃあウチの商会随一の商売人・藤原豆腐の二代目と、ロンドン酒場で酒舐めながら相談したんだな。
野郎、すっかりインド焼けして裸族すれすれの妙な恰好してやがったが、言うことはさすがに的を射てる。
手前ぇで大砲屋の真似事するのはマイナスにゃあならないとか、イングランドじゃ鉱石がらみの取引は市場がでけぇとか、まぁいろいろとメリットがあるらしい。

てなわけで、俺ゃあ鉱物商に転職することにした。
実際、どれでもよかったんだが、豆腐が勧めたのと、サイの目がこいつに当たったもんでよ。

しばらくこいつで俺ゃあ苦手の金勘定に励むことになったわけだな。

面倒くさくなったらバックドロップで片付けちまいそうな気がしねぇでもねぇんだが。
posted by ブリアレオス at 01:21| Comment(7) | TrackBack(1) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月13日

停滞のテムズ埠頭

すっかり地中海焼けしてロンドンへ戻ってきた俺に、海軍当局のエライさんが言った。

「貴官、栄えある海軍士官に昇進したにも関わらず肝心の哨戒任務はどうなっておるのか」

俺ゃあヤツの頭の上を時期外れの蝶々が横切っていくのを眺めながら答えた。

「さぁてね」

士官にゃなったもんの、正直なところ俺ゃここんとこ全く海事仕事をやってねぇ。
撃ってくるヤツぁ沈めるが、手前ぇから殴りこみに行く気分じゃねぇ。
その分なにしてるかってぇと、サルベージと当ての無い航海だ。
いやぁ、腑抜けちまってどうも気合が入んねぇ。
五月病ってヤツか?

気ままなサルベージャー生活は楽しいが、実際がとこ停滞してると言やぁしちまってんだよな。
知ってのとおり、二足や三足わらじを履いてる場合、本職じゃねぇ方はじわじわとしか身にならねぇ。
「下手の横好き」は「玄人裸足」にゃあなかなかなれねぇってわけだ。
俺みてぇに軍人のくせに軍人仕事やらねぇってのは、イヤな響きだが効率ってヤツを考えるとすげぇ非効率だ。
商売するならすっぱり商人に、冒険家やるなら冒険家へ稼業代えして、やり直すぐれぇの覚悟でかからなきゃあモノにはなりづれぇんだ。

分かっちゃあいるんだ、分かっちゃあな。

別に軍人だけが生きる道じゃあねぇからな。
サルベージャーを本職にしちまってもいいだろうし、気合で相場をぶっ飛ばす豪腕商人になっても俺はきっと俺のままだろう。

それでも相変わらず俺ゃあ軍人のまんまだ。
軍人の俺を見物しててぇって読者の皆様方の期待ってヤツが気にならねぇと言やぁウソになる。
自意識過剰?そうかもしれねぇ。

結局のとこ、何が俺の転職を妨げるのか?

正解が分かったヤツにゃあもれなくバックドロップをお見舞いするぜ。
posted by ブリアレオス at 19:48| Comment(8) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月11日

サルベージャーの日常

「フランス船籍貨客船・ラ=ブリュイエール、同月16日ナントを出航…予定の期日を過ぎてもマルセイユへ入港せず」
おっと、こいつぁメシのタネだぜ。

アンリとトマ、お前ぇらフランス人だから顔が利くだろ。
二人でこいつの船主を当たれ、きっちり身なり整えてな。
バーニィとスヴェンは酒場で生き残りの尻尾を探して来い。
置いとくとうるせぇから、ホセもついでに連れてけ。
ハンスは留守番だ、いつでも出航出来るように支度しとけよ。
俺?俺ゃあアンリ達と船会社まわったあと、造船所界隈の聞き込みだ。
出航予定は明々後日の日の出にあわすんで、遅れるな?

航海士どもに指示出した俺ゃあその足でマルセイユの街で、標的の沈船・ラ=ブリュイエールについての噂をかき集めた。

アンリとトマが聞き込んできた話じゃ、船主のサンクレール・マルセル商会は、こいつにちょいと値の張る商品を積んで高速輸送専門に使ってた。
安くてかさばる商品を満載してのろのろ走らせてたわけじゃねぇってこったな。
ナントを出航して2日目の夜、急な嵐と操船のまずさで横波をモロに食らって転覆沈没。
生き残りの元掌帆長は、樽につかまって3日ほど流されてるのをエビ漁に出てた漁船に助けられて命を拾ったそうだ。
2本マストにラテン装帆のコグ級で、設計がまずかったんだか知らねぇが微妙に左へ切れ込む癖のある船だったらしい。

俺達がかき集めた情報を総合するとこんなとこだった。

俺ゃあ元船主にかけあって、引き上げ品全てについて8割を譲り受ける契約を取り付けた。
もちろん成功報酬で、経費は一切こっち持ち。
どうせ連中は保険で大して懐は痛んでねぇんだ、7割でも8割でも気にする事ぁねぇ。

予定航路図、船の癖、くたばった船長の操船、潮流、等々。
あれこれ計算に入れて、俺たちゃ実際に連中の辿ったと思しき航路をなぞってみる。
おおよそのとこまでは絞り込めるが、最後はハッキリ言ってカンだ。
見当つけたあたりを、エビ漁のカゴを改造したみてぇなクマデモドキを引っ張ってみたり、素潜りの上手いヤツを潜らせてみたりして、実際に沈船に当たるのは、まぁ10隻に1隻いけば良い方だ。
そもそも航路も辿れねぇわ、生き残りは居ねぇわなんて方がザラな話だからな。

が、今回のラ=ブリュイエールは大当たりだった。
沈んだのがごく最近だったこと、生き残りがかなり正確に沈没までの様子を覚えてたこと、ドックの親方から船のクセまで聞き出せたことで、ウソみてぇにあっさりと俺たちゃ獲物にありついた。

次もこんな具合だと有難ぇんだがな。

海底から積荷を引き上げるカゴが暗い海底に沈み、後を追って潜水夫が続くのを眺めながら、俺ゃああくびをかみ殺した。
posted by ブリアレオス at 03:08| Comment(2) | TrackBack(0) | Story of Hecatoncheir | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月09日

愚者の黄金週間

世間様で言うところの「黄金週間」も終わっちまったが、どうだ元気だったか?
俺ゃあイマイチ黄金でもなんでもなかった気がするが、まぁしょうがねぇやな。

で、その間、俺が何してたかってとこなんだがな。
実のところこないだのうたた寝大航海以外は大した事ぁやってねぇんだ。
なんたって、一応は休暇だからな。
のんびりしてみたかったのさ。

のんびりそこいらのゴロツキどもを沈めたり。
のんびり手当たり次第に海事依頼をこなしたり。
のんびり出航所役人をテムズへ叩き込んだり。
のんびり性懲りも無く「ロンドン橋おちた」をやらかしたり

のんびり?

…あんまり変わり映えしねぇ気もするが、まぁいいや。
いいだろ?
いいって事にしとけ。


ただ、何の変わりもなかったわけじゃあねぇんだ。
この1週間ほどで、俺の境遇はガラッと変わった。

まず、海事依頼で「シェラン襲撃艦隊戦」が回ってきたんで、晴れて海軍士官へ昇進した。
昇進ったって、別に前と変わりゃあしねぇ。
あいかわらず給金は出ねぇし、支給される乾パンの湿気り具合もおなじみだし、年金も恩給も多分なんにも付きゃあしねぇ。
俺のみたとこ、手ごわい賊退治のエサにすぎねぇ「名誉職」だ。

ま、名誉職でもスキル優遇の枠が少ぅしだけ広がってて、それだけは多少有難ぇよな。
その優遇と、前にエセ占い師から習った身体言語のおかげで整理したスキル枠でもって、スキルを大幅に組みなおした。

船乗りたるもの、どんな水平線の果てへでも行って帰る心意気が欲しいよな。
で、そいつを心意気だけで終わらせねぇ為の冒険系スキルの充実。
こいつが今回のスキル改造のキモだったわけだな。
「操帆」・「運用」の二大航行支援スキルに加えて、「調達」で雨水も溜め込みたい所だったがそこは航海計画でカバーすることにして断念。

あと、200年ほど後の人間だが、ジェームズ・クックに敬意を表して、「地理学」調査をやってみることにした。
島や海峡や入り江の調査と地味な印象が強ぇが、未踏の世界を既知の領域へ塗り替えるってのは、なかなか浪漫あふれる仕事だと俺ゃあ思う。
それに、意外と地理学の記録をあさると、沈船の航海記録ってヤツにぶちあたる。
そんなわけで最近の俺ゃあ、沈船のサルベージが副業になってる。
(「視認」とサルベージ品こじあけ用の「開錠」も抱えることにゃなったが)

他に「考古学」と「探索」もかじってみたが、こっちは陸へ上がる分ちよいと面倒な気もしてんだよな。

そして本業の戦闘系だが、せっかく士官ってことで優遇もついたんで白兵スキルにも手を広げてみた。
接舷喰らうとお手上げってのも芸のねぇ話だ。
多少は抵抗出来りゃあ起死回生の一撃だってぶち込めるかもしれねぇ。
軍人としてのしぶとさも身につけときたかったわけだな。
カパさんとトリポリへ採りに行った「機雷敷設」は、砲撃屋としちゃちょいと使いにくいとこがあったんで、削っちまった。
ゴメンな、カパさん。

ま、そんなこんなで、俺ゃあ「海軍士官兼サルベージャー」ってなところに落ち着いたわけだな。
posted by ブリアレオス at 09:17| Comment(6) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月03日

船乗りの敵

手前ぇら、船乗りにとって一番の敵は何だ?

凪か?嵐か?海賊か?
胡椒満載してる時にボヤ騒ぎやらかす船員か?
ドンパチの真っ最中に弾け飛ぶ砲身か?
ヨナの呪いみてぇに常に吹き付ける逆風か?
債権書もって港で待ち構える借金取りか?
人の財布で相撲とりやがるクセに悪びれる様子もねぇライザ・ミドルトンか?

たしかにそいつらは手ごわい。

しかし、最大最凶の敵、そいつぁ睡魔だ。


ふ、と目が覚めた俺ゃあ、見渡す限り周囲に何にもねぇのに気がついた。
たしか俺ゃあセビーリャを出航して、ロンドンへ帰る途中だったはずだよな。
ヒラルダの塔をかすめて昇る朝日がまぶしかったのをよく覚えてる。

そいつがどうしてこんなとこ航行してんのか。
見渡す限り水平線、陸地どころか島影もねぇ。

見れば水夫どもはもう食うもんも無くて、ヨレヨレんなってやがる。
ヨレヨレの副官がかろうじてつけてたログによると、出航して間もなく1ヵ月半になろうとしてた。

こりゃえらいこったぜ、痛恨のミスってヤツだ。

大体、どこ航行してんだかさっぱり分かんねぇ。
進路が西へ向いてたんで、とりあえず180度回頭して進路を維持する。
遅ればせながら釣りで食い物を確保するが、水はとっくにきれて久しいらしい。
水夫は飢えと乾きと疲労の3連コンボでバタバタ倒れてく。
地獄絵図ってヤツだ。

この手の足りねぇ時に限って、要らねぇちょっかいかけてきやがるのが海賊どもだ。
波間を近づいてくる連中が砲門開くより前に、俺ゃあ連中に怒鳴った。
「手前ぇら、どこの船だ!?」
せせら笑う相手だったが、どうやらアソーレス海賊の一派らしい。
それさえ聞きゃあ用はねぇ。
俺ゃあ尻に帆かけてさっさと逃げ出した。

アソーレスと来やがったか!
大西洋を渡りにかかっちまってたわけだな。
進路こそ反転させたもんの、俺の知る限りこの海域にゃあ何にもねぇ。
島もねぇから、鳥すら飛んでこねぇ。
風向きだけは悪くねぇんでどんどん進むが、水夫どもはもう限界まで疲労してる。
立てるヤツなんざ数えるほどだ。
俺ゃあつくづく手前ぇの迂闊さを呪ったもんよ。

出航から69日もかかってリスボンへたどり着いた時、生き残ってたのは俺の他にゃあ水夫がたった2人だった。
船底にゃあネズミすらいねぇ有様だった。

いいか、野郎ども。
眠い時ゃあさっさと寝ちまえ。
無理して海出てもロクな事ぁねぇ。

やれやれだぜ。
posted by ブリアレオス at 15:53| Comment(3) | TrackBack(0) | Episodes | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。